意見 文化庁の考え方 文化庁の考え方に対する考え
意見詳細:

1.規制の必要性がない

 規制評価票の(5)規制の必要性において「今後様々な形態の技術移転機関が現れることが予想される」とあるが、(7)規制の費用分析において、「(技術移転機関がプログラムの著作物等の管理を行う場合は一般的には非規制の非一任型により行われること)」「現在著作権等管理事業を行っている機関はない」「現在著作権等の技術移転事業の実績がなく」等、当該管理業務が現に可能であるにも関わらず存在しない状況において、予想されているような技術移転機関が現れる蓋然性がない。


1.について
 今後、一任型により著作物等の著作権等の管理業務を実施する技術移転機関が現れる可能性はあると考えており、そのような技術移転機関が現れた場合には、著作権等管理事業法に基づく管理事業者に対する各種の義務を課すことにより、著作権等の管理を委託する者を保護するとともに、著作物等の利用の円滑化を図ることが必要と考えます。


蓋然性がない、という意見に対して「可能性はあると考えている」ではなんら根拠を示しておらず、説明になっていない。
非一任型の著作権管理は、現在でも著作権等管理事業法の対象ではないから、プログラムの著作物等の管理を非一任型で承認TLOが行うことになんら問題がない。
2.二重規制である

 承認TLOは、大学等における技術に関する研究成果の民間事業者への移転の促進に関する法律(大学等技術移転促進法)に基づいて、その実施計画について文部科学大臣及び経済産業大臣の承認を受けており、文部科学大臣は認定事業者に対してその実施内容について報告を求めることができ罰則も定められている。その上にさらに文化庁長官の監督を受けるのは二重規制であり適当でない。
2.について
 著作権及び著作隣接権は、大学等における技術に関する研究成果の民間事業者への移転の促進に関する法律における特定大学技術移転事業の対象となる権利ではないため、ご指摘は当たらないと考えます。

特定大学技術移転事業の対象となる権利は、大学等における技術に関する研究成果の民間事業者への移転の促進に関する法律施行令(平成十年七月二十三日政令第二百六十五号)において指定されており、確かに著作権は現在指定されていないが、承認TLO等が管理業務を実施する可能性があるというのであれば、この政令を改正すればよいのであって、新たに監督者として文化庁長官を増やす理由にはならない。
3.規制の費用分析の遵守コストに立入検査のコストが含まれていない

 契約・流通小委員会(第3回)議事録(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/bunka/gijiroku/014/04111201.htm)によると、文化庁は平成16年度より、著作権等管理事業法第十九条に基づき管理事業者に対して定期的に立入検査を実施するとしているが、規制評価票の遵守コストに当該立入検査のコストが含まれておらず、費用分析が十分でない。
3.について
  (4)に掲げる各種義務履行のためのコストとして分析しています。
報告徴収及び立入検査は著作権等管理事業法第19条であり、本条は(4)に掲げる各種義務履行には表記されていない。「等」によって含めるのは分析しているとは言えず、明記すべきである。
4.「プログラム等の著作権等」では対象が不明瞭

 概要において「プログラム等の著作権等を管理させる契約を締結する委託者」との表現があるが、著作権法では「プログラムの著作物」は定義されているが、「プログラム等の著作権」なる用語は存在しない。「プログラム等」の「等」に何が含まれるか、「著作権等」の「等」に何が含まれるか不明であり、管理対象となる著作権が不明なままでは適切に意見を述べることができず不適当である。
4.について
 技術に関する研究成果に係る著作権又は著作隣接権です。

つまり、「プログラム等の著作権等」とは書いてあるが、実際には一任型で承認TLO等により行われる著作権管理事業すべてが対象になるということであり、「プログラム等の著作権等」と限定しているかのように見せかけて、不適当な意見募集を行っていたことになる。
5.「プログラム等の著作権等」とする理由が不明

 前項のように対象となる著作権が不明であるが、仮にプログラムの著作物の著作権であるとして、なぜそのような著作権を対象として著作権等管理事業法する必要があるのか不明である。既管理事業者において、プログラムの著作物を管理対象とする事業者は多くなく、当該管理事業に対する社会的要請は高くないと思われる。にも関わらず、本改正案において「プログラムの著作物」を管理対象とする理由は一切説明されておらず、改正案が妥当とは思われない。
5.について
 プログラムの著作物の著作権の一任型の管理事業は、現在でも、著作権等管理事業法の規制対象となっています。

「既管理事業者において、プログラムの著作物を管理対象とする事業者は多くなく」という意見に対して、「現在でも規制対象となっている」という回答は意味不明だ。既存登録事業者でプログラムの著作物を対象としているのは2団体しかないので社会的要請は高くないと考えたが、そこまで書かないと理解できなかったようだ。
一般からの意見者が無知であるという前提の回答は不愉快としか言いようがない。
さらに今回対象の承認TLOは、現在 「委託者が人的関係、資本関係等において受託者と密接な関係を有する者として文部科学省令で定める者」であり、現状は規制対象外であるので、説明も不適当である。
プログラムの著作物という一任型著作権管理の社会的要請が高くないものに対する著作権管理を行おうとする技術移転機関が現れると文化庁が考える理由はやはり説明されていない。
6.利用代表の選出困難性

 大学における学術研究の特性を考慮すると、利用者区分を事前に決定することは極めて困難であり、当該利用者区分の代表者を選出することも困難と予想される。その結果、(6)規制の便益分析のイ)著作物等の利用の円滑化における「使用料について利用者等の意見が反映されやすくなる」とする効果は疑問であ る。
6.について
 著作権等管理事業法第十三条第二項に規定する「利用者又はその団体」は、「利用者代表」である必要はないため、ご指摘は当たらないと考えます。

利用者代表との協議が必要なのは指定管理事業者なので少し誤解していたが、周知のように、著作権等管理事業法第十三条第二項は努力義務にすぎない。さらに意見聴取は、使用料規程を制定・変更する際であり、利用者等の意見が反映されやすくなる、と明記できるほどの便益があるかはやはり疑問だ。
7.利用許諾拒否の制限による技術移転事業の阻害

 技術移転事業者が持つ特許等の独占的許諾権が技術移転先企業にとってのインセンティブになるのであって、プログラムの著作物が管理事業の対象となることによって、誰でも当該プログラムの著作物の著作権を利用することができるのであれば、その技術を競争に用いることができなくなるため、企業にとってのインセンティブを損ない、技術移転事業を阻害する。
7.について
 ご指摘のような事業は、著作権等管理事業法の登録の対象とならない「非一任型」により営まれることが一般的であると考えます。

ここでの考え方は、技術移転機関が「一任型」で著作権管理を行う必要性がそもそも高くないことを示している。
8.特許との不整合

 仮にプログラムの著作物が管理事業の対象となったとしても、プログラムの著作物にプログラム特許が含まれている場合には、著作権等管理事業法の利用許諾拒否の制限にも関わらず、当該プログラムの著作物の使用が制限され、「代替性の低い場合が多い著作物等についての利用者の利益保護が図られる」という便益は得られない。
8.について
 プログラムの著作物の著作権の一任型の管理事業は、現在でも、著作権等管理事業法の規制対象となっています。

ここでの考え方は、便益が得られないということを否定していない。つまり、承認TLOが一任型の著作権管理事業を行った場合でも、プログラム特許が含まれている場合には利用者の利便保護は図られず、利用者にメリットがない。
9.大学等におけるソフトウェア利用の社会的コストが増加する

 管理委託契約を交わした研究者が、それとは別にGPL等のプログラム著作物を発表することが抑制される恐れがあり、オープンソース活動に支障を来す恐れがある。近年、職務発明との絡みで、研究室に配属された学生に対して事前に一括で大学と特許権に関する契約を求めるべきではないかといった話もあるが、これが著作権にまで拡張されると、学生が研究で開発したソフトウェアをオープンソースもしくはフリーソフトウェアとして発表することも困難となる恐れがある。そこまでは杞憂にしても、(6)規制の便益分析にあるように「本来利用許諾を積極的に行うことによりなるべく多くの使用料を徴収してもらうことを期待して委託している委託者の利益が保護される」ことにより、大学等におけるプログラム著作物等を使用するためのコストが上昇する可能性は高い。
9.について
 コストが上昇するか否かは個別具体的な事例によって異なると考えますが、著作物等の利用の円滑化の観点から、著作権等管理事業法は、使用料規程の作成・公示義務等の規定を設けています。

使用料規程の公示義務は、事業所内で掲示すればよいことになっており、登録管理事業者であっても利用者が実際に訪問してみなければ分からないということもありうる。