Tuesday, May 13, 2008

著作権の切れた著作物

朝日新聞の5月13日の記事に「今、若者にウケる「蟹工船」 貧困に負けぬ強さが魅力?」というものがあった。「蟹工船」の文庫がよく売れているのだという。 小林多喜二は今年、没後75年だ。ちょうど、著作権延長で議論されている75年である。 つまり現行著作権は作者の死後50年だから、すでに著作権は切れている。 実際、青空文庫において小林多喜二作品が公開されており、インターネットで無料で読むことが可能だ。

こうして著作権の切れたものも出版社が売っている。延長賛成論者であれば「売れるということは、価値があるのだから権利を認めるべきだ」と主張するかもしれない。しかし、逆説的に「著作権が切れたものでも、作品はきちんと扱われている例」と見ることもできる。この記事にあるように同じ作品を複数の出版社が出版している。またマンガもあるという。著作権が切れていないければ、こういう展開はなかったかもしれない。また、インターネットで無料で読める作品も、本としてこうして売れているというのは事実である。

著作権を認めるということは「排他的」独占権を認めることだ。少なくとも、小林多喜二はそんなものは求めなかったのではないかと思う。

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Monday, April 14, 2008

Ajax: iPhone/iPod touchのURLバーを隠す

iPod touchのWeb Appを作ろうとしている。その時のTipsをちょっとメモ。

iPod touchにはSafariが載っているが、普通にWebのページを表示するとURLバー(アドレスバー)が表示されている。これを隠したい(見えなくしたい)時には、スクロールしてやればいいのだが、これを簡単にどうするのか、というのがGoogleなどを検索してもすぐに見つからなかった。どうやらiPhoneDevBootCamp等で紹介されたテクニックらしいのだが、そのものズバリを簡単に書いているものが見つけられなかった。そこで、iUi.jsなどを見て理解したところを書いておく。

基本的にはscrollToで1ピクセルでもスクロールさせると、勝手にURLバーはスクロールして見えなくなってくれる。もちろんそのためには縦位置ならば416px以上の領域が存在していることが必要だ。そして、onload時にscrollToするだけではタイミングが早すぎるようで、setTimeoutでonloadの100msec後くらいにscrollToを実行するのが良いようだ。


        <head>
         .....
        <script type="text/javascript">
        <!--
          window.onload = function() {
            // for hide URL bar
            setTimeout(scrollTo, 100, 0, 1);
          }
        // -->
        </script>
        </head>
        <body>
        <div id="page" style=
           "width: 300px; height: 416px;">
             TEST
        </dvi>
           ....
        </body>

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Monday, November 12, 2007

Ajax: JSONの読み込みがIE6でエラーになる

AjaxなWebプログラムをしているときにはまった話を1つ。

最近、XmlHttpRequestのresponseTextを受け取る方法としてJSONという形式が簡単に使えるということで使ってみようとした。JavaScriptではJSON形式は直接evalできたり、json.jsでパースしたりできるのだが、なぜかFirefoxやSafariでは動くのに、Internet Explorerでだけエラーが発生して動作しない。色々、調べた結果、文字コードが関係あることが分かった。

結局、Webサーバのphp.iniの中の設定で、デフォルト文字コードの設定があるのだが、これを

default_charset = "UTF8"

としていたのが問題だった。UTF8という文字セットは、IEでだけ受け付けられないらしい。そのため

default_charset = "UTF-8"

と書かなければならなかった。ほんの一文字の間違いで大きな違いであった。

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Friday, October 06, 2006

ソーシャルネットワーク特許

ちょっと前に、FriendsterがSNS特許取得というニュースが出ていたようだ。
この記事によると、2003年6月に出願となっている。

しかし、ここに上がっているような内容はすでに2003年1月にアメリカで我々は発表していると思う。

Human-Network-based Filtering: The Information Propagation Model based onWord-of-Mouth Communication, Susumu TAKEUCHI, Junzou KAMAHARA, Shinji SHIMOJO, Hideo MIYAHARA,
Proceedings of 2003 Symposium on Applications and the Internet(SAINT 2003),pp.40-47, Orlando, Florida, USA, (Jan. 27-31, 2003)

この中で、ユーザの登録等に触れたくだりもある。

Therefore, in our system, when a certain user wants to register another user, the user has to send a request message. When the requested user also wants to become a neighbhoring user, the requested user must reply with a response message for that request. The neighboring user is organized only after the requested user receives this response message.

さらに言えば、このシステムについては、2001年6月に日本国内で出願している(特開2003-006118  「情報伝達システム及び情報提供方法」)。まあ審査請求していないですが(出願から3年以内に審査請求しないといけないというのはちょっと厳しい)。ちなみにこれは、2001年3月に「ユーザ間の関連性に基づいた連続的情報転送モデル」という電子情報通信学会 第12回データ工学ワークショップ(DEWS2001)で発表した内容をベースに出願している。ちなみにこの時はメールベースアプリケーションだが、DEWS2002では携帯電話を用いたウェブベースのアプリケーションも公表している。

ちなみに「任意の2ユーザ間の関係を列挙表示する」というものは、やっているSNSも少ないのであんまり意味は無いだろう。

SNSの特許って無理。5年前に日本でそういうのあったしでも、2001年10月の研究発表が紹介されている。実際に報告を見たが、知人全員を一覧表示し、各人の近況を表示する機能など、現在のSNSにかなり近い形と思う。

この時期はちょうどインスタント・メッセンジャー(IM)が注目を浴びていた時期でもあり、同時多発的に同じような内容の研究が発表されていたのではないかと思う。

とはいえ、特許はややこしいので、ミクシィのような企業が特許を慎重に扱うのはやむを得まい。

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Wednesday, July 06, 2005

企業側からの改正特許法への不満

社員間の公平さの維持と「5%ルール」に疑問符---職務発明制度の問題点を専門家が斬る(日経BP,Tech-ON産業動向オブザーバ)の記事であるが、「専門家が斬る」とされているけれども、むしろ企業側からの視点ばかりであると言える。

(1)社員間の不公平に関して、マイクロソフト法務・政策企画統括本部極東地域担当のダイアン・ダーカンジェロ氏が「相当対価を規定した法律」は日本だけとしているが、実際にはドイツにも従業員発明に補償金請求権を認めるなどの権利があり、その他の国でもアメリカ以外では法律でなんらかの職務発明相当の規定があり、米企業の立場からかもしれないが全くグローバルな観点とは言えない。その意味では日米比較の観点から、というシンポジウムではあるが、誤解を招くものである。知財立国を目指す立場からすれば、研究者は「相当の対価」が法的に保証されいている国で働きたいと思うのが自然とも言えるはずで、企業間の競争において、そういう国に研究所を設けない企業は研究者の誘致に不利になるとの見方もできる。特許法改正の際にも他国の知財立法は比較検討の対象とされたのであり、知財立国を目指す国の国益を考えれば、研究者にインセンティブを与えるのは自然なことと考える。

さらにかつて富士通で働いていたという日比谷パーク法律事務所の上山浩氏は 「偶然,発明に携われる部門に配属された社員は,高い報酬を手にする可能性があるが,それ以外の部門に配属された社員にはその可能性はない」としているとのことだが、 これは社内の異動政策の問題であって、それによって生じる従業員間の不公平感は会社自身の説明で納得してもらうのが筋ではないだろうか。「一部の社員だけにインセンティブを与えて」ともあるが、 そもそも会社自体が社員に平等な報酬を約束しているわけではない。 大して働いていないように見える会社役員が、多額の役員報酬をもらっているという不平はずっと存在する。 改正特許法が要求する合理的な手続きとは、 インセンティブとしての職務発明の付与基準を明確にすることであり、これは企業に従業員に対する説明責任が存在していることを示している。 また、日本でもいわゆるビジネスモデル特許も可能となってきており、特許はかならずしも一部の研究者だけのものとも言えないわけだが、このあたりの意識がまだ乏しいのかな、とも思われる。

(2)5%ルールに関しては、改正特許法では合理的な手続きを定めるのみで、その際の相当対価に関するルールはまだ存在していない。企業が相当対価を定める方法が不合理だった場合に、はじめて裁判所が貢献度を考えることになっており、従来よりも裁判所が貢献度を考える事例は減ることが期待されている。 従って、「発明へのインセンティブを社員にどう与えるかは,各企業の重要な戦略の一つ」 という意見には賛成だし改正特許法が意図するところでもあるが、 「強行法規として画一的に決めるのは問題である」というのは、 何か誤解があるのではないかと思う。

改正特許法が意図するところは、企業と発明従業員間の紛争を減らして双方が納得の上で働ける環境を構築することであり、企業に画一的な決め方などは要求していない。 訴訟リスクを0にしようというあり得ない発想のほうがよほど危険である。 いずれにせよ、改正特許法の評価はまだこれからであり、 裁判事例もないうちから再改正を望むのは拙速との批判を免れられないだろう。

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Monday, April 18, 2005

改正特許法に対する誤解

 今日(4/18)の日経新聞朝刊「スイッチオン・マンデー・法務インサイド」に奇妙な記事が掲載されている。 職務発明について改正された特許法が、柔軟性に欠けているとして、産業界から「改正は失敗だった」 という声が上がっているという。

 結論から言えば、記事は産業界(それも大企業だけ)の意見だけを取り上げたものでしかなく、 またその意見も改正特許法に対する誤解に基づくものでしかないように見える。

 まず挙げられているホンダの事例は、「ある技術について社内の審査委員会の評価に応じて報奨金を出すことが、 『特許法三十五条に照らすとNG』なので導入できない」というものだ。 この記事で改正特許法のポイントとして示されているのは「『報奨規則が合理的かどうか」が重視されること」 とされている。 「ホンダが有望と考える順に報奨に格差を付ければ、結果的に報奨が減ったりなくなる技術者から支給基準があいまいとして訴えられかねない」

しかし、これは誤りである。 新職務発明制度における手続事例集p.21に以下の事例がある。

問1.対価の算定方式として、売上高又は利益といった実績に応じた実績報償を定め ないと、不合理と評価されますか。

実績報償という方式で対価が決定されなければ、総合的な判断の結果として、不合 理と認められるというわけではありません。ケースバイケースですが、例えば、特許 登録時に発明の実施を独占することによる期待利益を評価してその評価に応じた対 価を支払うという方式であっても、対価を決定して支払われるまでの全過程を総合的 に判断して、不合理と認められないことも当然考えられます。

 上記の通り、企業が「期待利益を評価して格差を付けて報奨を支払う」方式も新特許法では可能である。 これは平成16年度新職務発明制度説明会テキストに書かれている。 新特許法で最重要なのは「手続きの合理性」のはずである。 新報奨制度を導入するにあたって「きちんと従業員(研究者)と協議を行ったかどうか」 や「社内の審査委員会における基準が明確か」などが合理性として判断される。

 ホンダの検討した報奨制度で、「結果的に報奨が減ったりなくなっただけ」で技術者から支給基準があいまいだとして訴えられるわけがない。訴えてもその時点で訴えの利益が明かでないからだ。 報奨がなくなったにも関わらず、その技術が特許化され、 製品の売上げに貢献したりライセンス収入が生まれて初めて、不合理であったということになる。 「評価委員会が評価しなかった技術を特許化した」というのは明らかにおかしい。 減額評価だったのに、代替の効かない技術として著しく売上げに貢献したのなら、後から追加で報奨を出すことができなければおかしい。 その意味で、ホンダが「三十五条に照らしてNG」と判断しているのは、 特許法改正の内容をきちんと理解していないのではないかと思わざるをえない。

 また日立製作所の例では「有期エンジニア制度」を作って、プロジェクト毎に技術者と個別契約し、報酬は終身雇用の倍以上出す代わりに、三十五条の適用外として発明があっても対価はなく、成果が思わしくなければ契約は中止、というイメージだったという。これも不満に思ったエンジニアが裁判を起こしたらどんな結果になるか分からない、とのことで導入できなかったとされている。 高額報酬で意欲を引き出しやすく、外部の有能な人材を引き込みやすい制度とあるが、 エンジニアの立場からすれば企業にとってのみ都合のいい制度で、 エンジニアのメリットは高額報酬以外には全くないように見える。 プロジェクトが終了した段階で最終的な成功報酬が上積みされるならまだしも、 そうでなければそもそも応募するエンジニアが出てくるとは思えない。 三十五条がなかったとしても、とても成功する制度とは言えないだろう。 その意味で改正特許法とはあまり関係がない話である。

 もちろん、「三十五条がある限り、訴訟リスクをゼロにはできない」というのが記事の主張であればその通りである。 「訴訟リスクをゼロにせよ」という主張は「企業から研究者への報酬は、企業の裁量で与える恩恵でしかない」 ということである。もし研究者が研究の成果から報酬を得る法的根拠がなくなれば、 現在のように報酬制度の整備が進められたとはとても思えない。

 さらに記事には以下のようなくだりがある。

そもそも司法が対価を決めるのではなく、企業の自主的取り組みを重視しようというのが法改正の出発点。 それで企業の国際競争力が増せば技術立国を目指す国益にかなうとの了解があった。 ところが柔軟性に欠け、技術者側にも目に見えるプラスはない。

 司法が対価を決める問題の1つには、裁判所ではいわゆる技術の善し悪しの判断ができない、 という産業界の不信があった。しかし、それを受けて東京高裁に知財高裁が設けられた。 その意味では、そもそも出発点から変わってきており、 改正特許法で「手続き論」が加えられ、裁判所が判断しやすい仕組みも作られている。 その評価を待たずに「改正は失敗」というのは、あまりにも身勝手と言うしかない。 企業が発明者に報いる制度を整備させるには、三十五条を欠かすことは出来ない。 「柔軟性に欠け」とあるが、欠けているのは企業自身の柔軟性ではないか。 目には見えなくても、発明者に報いる制度が浸透することは、 技術者にとってなにものにも代え難いプラスである。

 改正特許法が求めているのは、企業による技術者に対する説明責任であり、 技術者の納得だ。テレビ報道では技術者を集めて、新しい職務発明制度に関する説明会を実施した企業の例なども紹介されたことがある。 企業のメリットばかりで従業員が納得しないどのような制度を作ったところで、成功するはずがないことを企業は知っているべきである。

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Tuesday, January 25, 2005

著作権保護期間の見直しに関するパワーポイント

「著作権保護期間の見直しについて」というパワーポイントを作ってみた。ただ延長に関する問題の要点をあまり分かっていない可能性がある。というのも実のところ、著作権保護期間延長の何が問題か、 を分かりやすく要点を示した資料を見たことを私自身ないためだ。そのため、このパワーポイントが役に立つかどうか分からない。しかし作成の過程で、やはり著作権保護の延長は既得権者の利益を保護するだけとの思いを強くした。

opposing-copyright-extention

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Tuesday, December 28, 2004

規制の事前評価が義務づけの方向

規制の事前評価義務付けへ/総務省、政策評価見直し(四国新聞,2004年12月21日)。 以前のエントリ(規制評価の評価方法)にて、規制評価は担当政策部局の自己評価だけ、と書いたがそれが少しは改善されるだろうか。

また総務省からは行政手続法検討会報告が総務大臣に提出されており、行政立法手続の法制化(意見提出手続きの法制化)の方向となっているようだ。

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Monday, December 27, 2004

著作権等管理事業法施行規則の一部改正に対するパブリックコメント(意見提出手続)の結果について

著作権等管理事業法施行規則の一部改正に対するパブリックコメント(意見提出手続)の結果についてが公表された。 どうやら提出意見は私の1件だけだったらしい。 そのためか、意見詳細に対して、個別に文化庁の考え方が示されている。 しかし残念ながら、これを見る限り「省令改正」する必要性はなく、 むしろ「大学等技術移転促進法」に関する政令を改正するべきのように思われる。 これについても、パブリックコメントの募集において説明が十分に行われていれば分かったことだが、 今回のパブリックコメントの募集においても不十分な説明しか行われていないのは誠に遺憾である。

示された文化庁の考え方に対して、さらに私の考えを示したいと思う。

文化庁の考え方に対する私の考え

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Monday, December 20, 2004

著作権等管理事業法施行規則の一部改正に対するパブリックコメントへの提出意見

著作権等管理事業法施行規則の一部改正に対するパブリックコメントに対して、 下記のような意見を提出した。


意見要旨:「1.第二条関係」の改正に反対する

意見詳細:

1.規制の必要性がない

規制評価票の(5)規制の必要性において「今後様々な形
態の技術移転機関が現れることが予想される」とあるが、
(7)規制の費用分析において、「(技術移転機関がプログ
ラムの著作物等の管理を行う場合は一般的には非規制
の非一任型により行われること)」「現在著作権等管理
事業を行っている機関はない」「現在著作権等の技術移
転事業の実績がなく」等、当該管理業務が現に可能で
あるにも関わらず存在しない状況において、予想されて
いるような技術移転機関が現れる蓋然性がない。

2.二重規制である

承認TLOは、大学等における技術に関する研究成果の
民間事業者への移転の促進に関する法律(大学等技
術移転促進法)に基づいて、その実施計画について文
部科学大臣及び経済産業大臣の承認を受けており、文
部科学大臣は認定事業者に対してその実施内容につ
いて報告を求めることができ罰則も定められている。そ
の上にさらに文化庁長官の監督を受けるのは二重規制
であり適当でない。

3.規制の費用分析の遵守コストに立入検査のコストが
  含まれていない


契約・流通小委員会(第3回)議事録
(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/bunka/gijiroku/014/04111201.htm)
によると、文化庁は平成16年度より、著作権等管理事
業法第十九条に基づき管理事業者に対して定期的に
立入検査を実施するとしているが、規制評価票の遵守
コストに当該立入検査のコストが含まれておらず、費用
分析が十分でない。

4.「プログラム等の著作権等」では対象が不明瞭

 概要において「プログラム等の著作権等を管理させる
契約を締結する委託者」との表現があるが、著作権法
では「プログラムの著作物」は定義されているが、「プ
ログラム等の著作権」なる用語は存在しない。「プログ
ラム等」の「等」に何が含まれるか、「著作権等」の「等」
に何が含まれるか不明であり、管理対象となる著作権
が不明なままでは適切に意見を述べることができず不
適当である。

5.「プログラム等の著作権等」とする理由が不明

 前項のように対象となる著作権が不明であるが、仮に
プログラムの著作物の著作権であるとして、なぜそのよ
うな著作権を対象として著作権等管理事業法する必要
があるのか不明である。既管理事業者において、プロ
グラムの著作物を管理対象とする事業者は多くなく、当
該管理事業に対する社会的要請は高くないと思われる。
にも関わらず、本改正案において「プログラムの著作物」
を管理対象とする理由は一切説明されておらず、改正
案が妥当とは思われない。

6.利用代表の選出困難性

 大学における学術研究の特性を考慮すると、利用者
区分を事前に決定することは極めて困難であり、当該
利用者区分の代表者を選出することも困難と予想され
る。その結果、(6)規制の便益分析のイ)著作物等の
利用の円滑化における「使用料について利用者等の
意見が反映されやすくなる」とする効果は疑問である。

7.利用許諾拒否の制限による技術移転事業の阻害

 技術移転事業者が持つ特許等の独占的許諾権が
技術移転先企業にとってのインセンティブになるので
あって、プログラムの著作物が管理事業の対象とな
ることによって、誰でも当該プログラムの著作物の著
作権を利用することができるのであれば、その技術
を競争に用いることができなくなるため、企業にとっ
てのインセンティブを損ない、技術移転事業を阻害す
る。

8.特許との不整合

 仮にプログラムの著作物が管理事業の対象となっ
たとしても、プログラムの著作物にプログラム特許が
含まれている場合には、著作権等管理事業法の利
用許諾拒否の制限にも関わらず、当該プログラム
の著作物の使用が制限され、「代替性の低い場合
が多い著作物等についての利用者の利益保護が図
られる」という便益は得られない。

9.大学等におけるオープンソフトウェアの公表が阻
  害される

 管理委託契約を交わした研究者が、それとは別に
GPL等のプログラム著作物を発表することが抑制さ
れる恐れがあり、オープンソース活動に支障を来す
恐れがある。近年、職務発明との絡みで、研究室に
配属された学生に対して事前に一括で大学と特許
権に関する契約を求めるべきではないかといった話
もあるが、これが著作権にまで拡張されると、学生
が研究で開発したソフトウェアをオープンソースもし
くはフリーソフトウェアとして発表することも困難とな
る恐れがある。そこまでは杞憂にしても、(6)規制の
便益分析にあるように「本来利用許諾を積極的に
行うことによりなるべく多くの使用料を徴収してもら
うことを期待して委託している委託者の利益が保
護される」ことにより、大学等におけるプログラム
著作物等を使用するためのコストが上昇する可能
性は高い。

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«規制評価の評価方法